“第4回フェローシッププログラム開催”
2026年6月25日、GreenFaith Japanフェローシッププログラム2026 第4回を開催しました。今回は、TERA Energy株式会社代表取締役・竹本了悟氏を講師にお迎えし、「電力会社を起業した理由」をテーマにお話しいただきました。
竹本氏は、奈良県葛城市の西照寺の住職であり、浄土真宗本願寺派の僧侶として、認定NPO法人「京都自死・自殺相談センター(愛称:Sotto)」の代表も務めています。僧侶でありながら電力会社を経営するという視点と実践から生まれた講義は、私たちにとって多くの気づきをもたらす時間となりました。
“「身近な人を守りたい」—志が形を変えるまで”
竹本氏はもともと「国の役に立ちたい」という志から防衛大学を卒業後、海上自衛隊に入隊されました。しかし活動を続ける中で「もっと身近な人を守りたい」という気持ちが芽生え、大学院で仏教を学ばれたとのことです。人を優しく見守る心、共に生きることを大切にする共存共栄の精神に深く共鳴し、僧侶の道へ。その後、仲間とともに京都自死・自殺相談センターを設立された経緯が紹介されました。一つの志が形を変えながら、社会課題への実践へとつながっていったことが伝わってきました。
“「争いを生まない電気」—仏教思想が電力選びの基準に”
TERA Energyの事業において特に印象的だったのが、電力の調達方針です。竹本氏は、地域の合意を得ていない太陽光発電、化石燃料、原子力からの調達を避け、環境と地域社会に配慮したエネルギーのみを選ぶ方針を徹底されています。その根底にあるのは、仏教の「争いを好まない」「共に生きる」という思想です。「気持ちよく、後ろめたさなく使える電気を届けたい」という言葉が、事業全体を貫いていることが伝わってきました。エネルギーの選び方にも、価値観や理念が問われる時代になっていることを改めて感じました。
“3つの柱が目指す、循環する社会”
センターの運営を続ける中で直面したのが、資金確保という大きな課題でした。そこで出会ったのが、ドイツの地方都市で住民が電力会社を設立し、その収益で赤字路線のバスを買い取り無償化したという事例です。インフラ事業に紐づけることで継続的に社会へ還元できるという仕組みに可能性を感じ、2018年にTERA Energyを設立したとのことでした。
TERA Energyには3つの柱があります。一つ目は、電気料金の一部が非営利団体への寄付につながる「応援する電気」。昨年は約130団体へ年間約2,400万円の寄付を実現し、2030年には2億円を目指しているとのことです。二つ目は、仏教の共存共栄の理念に基づいた環境に配慮した再生可能エネルギーの提供。そして三つ目は、お寺をハブとした「誰も独りぼっちにならない世界」を目指すコミュニティづくりです。
この3つの柱に共通しているのは、「誰かのために」ではなく「ともに生きるために」という視点です。GreenFaith Japanが大切にしている環境活動も、地球や自然を守ることだけでなく、人と人がつながり、支え合える社会をつくることと深く重なると感じました。電気という日常の選択が、こうした循環の一部になり得るという気づきは、私たちの活動を考える上でも大切な視点となりました。
“理念と資金をつなぐことの大切さ”
「理念で動く人ほど、お金のことで孤立しやすい」—竹本氏のこの言葉は、GreenFaith Japanとしても深く響くものでした。環境活動においても、資金調達の難しさは多くの団体が抱える共通の課題です。今回の講義を通じて、理念を持続可能な形で社会に届けるためには、活動を支える仕組みを丁寧につくっていくことが不可欠であることを学びました。
電気という身近なインフラが”社会を支える循環の一部になる”そんな新しい可能性を示してくださった竹本氏の取り組みは、私たちの活動を考える上でも大きなヒントとなりました。GreenFaith Japanとしても、環境活動を長く続けるための仕組みと地域とのつながりを大切にしながら、今後もフェローシッププログラムを通じた学びと対話を深めていきます。