第九回 グリーンフェイスジャパン・フェローシッププログラム

生長の家「森の中のオフィス」を訪問 〜完全オフグリッドの持続型施設に学ぶ〜 GreenFaith Japanでは、2025年3月より青年宗教者を対象としたリモート学習セミナー「フェローシッププログラム」を継続的に開催しています。11月29日には、その集大成とも言える第9回プログラムとして、山梨県北杜市にある生長の家の「森の中のオフィス」を訪問しました。今回の訪問には、複数宗教の青年リーダーたちが参加し、現地の実践に触れる貴重な機会となりました。 「森の中のオフィス」は、生長の家が2013年に東京・原宿から移転した国際本部であり、「自然と人間の調和による新しい文明のモデル」を体現する場として設計されています。地元の間伐材を活用した木造建築で構成され、太陽光発電・太陽熱集熱・バイオマス発電などの再生可能エネルギーによって、外部の電力やエネルギー供給に一切依存しない完全オフグリッド運営を実現しています。 たとえば、屋上に設置された太陽光パネルで発電した電力は大型蓄電池に蓄えられ、悪天候時でも安定した電力供給が可能に。さらに、バイオマス発電で生じる熱は給湯に利用されるなど、エネルギーを最大限に活用する工夫が随所に見られました。標高1300mの高地という立地を活かし、夏は冷房が不要で、冬も集熱パネルや断熱構造により20度前後の快適な室温が保たれています。 敷地内の「万教包容の広場」では、宗教・自然・人間の調和を象徴する思想的空間が広がり、環境活動の背景にある精神的な価値にも触れることができました。 見学後には、現地スタッフとの懇談や質疑応答が行われ、参加者からは「この規模で完全なエネルギー自立を実現していることに感銘を受けた」「この学びを自身の宗教コミュニティに持ち帰り、できることから実践していきたい」といった声が上がりました。 今後もGreenFaith Japanは、多宗教間の連携を活かした環境学習と実践の輪を広げながら、信仰に根ざした気候アクションを推進していきます。

第12回 宗像国際環境会議に参加しました!

第12回 宗像国際環境会議に参加しました! 2025年10月26日〜28日、福岡県宗像市の宗像大社にて「第12回宗像国際環境会議」が開催され、GreenFaith Japanも参加をしてきました。今年のテーマは「神々しい海を取り戻す」。宗像の海と自然に根ざした視点から、日本および世界の環境課題と向き合う3日間となりました。 【1日目】”変わりゆく地球環境と、海辺からの警鐘” 開会式では、宗像市長や福岡県知事、宗像国際環境会議の実行委員会より、「12年目=干支ひと巡り」という節目に込めた未来への意気込みが語られました。「巳年は脱皮の年。次世代に環境意識をつなげていく重要な時」との言葉が印象的でした。 セッションでは、気候変動による猛暑や海水温上昇、台風の大型化など、急速に変化する地球環境の現状について、専門家が科学的な視点から共有。中でも、海洋の変化が一次産業に与える影響、砂浜の消失や魚の大量死といった問題の深刻さが浮き彫りになりました。 実際にさつき海岸で行われたビーチクリーンでは、宗像地域の地形や砂丘の変遷を学ぶ現地視察も実施。古代から地形を活かして神社や集会所を築いてきた知恵に触れ、自然と人との関係性を見つめ直す機会となりました。 【2日目】”暮らしと技術からひもとく「持続可能性」” この日は「地域循環」「フードロス」「エネルギー技術」など、多角的なテーマが取り上げられました。農業の持続可能性や食資源の効率的な活用、さらには「低温核融合」など革新的なエネルギー技術まで、環境と経済の両立をめざす事例が紹介されました。 宗像会議の恒例行事「竹漁礁づくり」も行われ、参加者たちが竹で筏を組み、海に沈める準備を行いました。翌29日には幼稚園児約70名が稚魚800匹を放流し、自然への感謝と命の循環を体感する機会に。この取り組みは宗像大社・宗像市・漁港など地域の協働によって支えられており、未来につなぐ学びの場となっています。 【3日目】”伝統と科学、文化と未来をつなぐ対話” 最終日は、「伝統文化」「精神性」「最先端研究」など、多様なジャンルのスピーカーによるセッションが展開されました。 博多人形や伝統工芸の担い手が語る“技と祈り”の継承、SBNR(Spiritual But Not Religious)の潮流から読み解く精神文化の可能性、アニメや能などを通じた文化発信の事例が紹介されました。 さらに、量子力学や都市・自然の再構築を巡る議論まで広がり、多様な立場から「未来をどう拓くか」が模索されました。美しいだけでは伝統は残らない、という鋭い指摘や、地球のために「リングに上がる覚悟」を示した表現も印象的でした。 “GreenFaith Japanとしての学びと意気込み” 私たちGreenFaith Japanにとっても、宗像という場を通じて、宗教・地域・行政・企業・教育といった多様なセクターが連携し、文化と環境をともに支えている姿に深く学ぶことができました。 宗像国際環境会議は、単なる学術イベントではなく、地球規模の課題に立ち向かう「人の輪」と「知の交差点」。今回の会議で生まれた出会いや学び、つながりを、今後の活動にしっかりと活かしていきたいと思います。

第八回 グリーンフェイスジャパン・フェローシッププログラム

第8回フェローシッププログラム開催! 今回は、FoE Japanの波多江秀枝さんを講師にお迎えし、「海外のエネルギー事業に対する日本の支援と国際的な批判」「脱炭素/エネルギー移行の名の下で進む誤った気候変動対策」という二つのテーマのもと、現地で起きているエネルギー事業の実態と、日本の官民が果たす役割について深く学びました。 “海外のエネルギー事業に対する日本の支援と現地からの批判” 波多江さんは現在フィリピンを拠点に、南アジアで進む石炭燃料事業に関する住民被害の調査・支援を続けておられます。今回は、インドネシアのチレボン石炭火力発電所で実際に起きている事実をもとに、日本の官民が関与する国際エネルギー支援の構造的な問題についてお話しいただきました。 インドネシア西ジャワ州のチレボン石炭火力発電所では、以下のような複合的な課題が指摘されています: • 発電事業の必要性自体に対する疑問(電力過剰地域での建設) • 土地収用による住民の生計手段の喪失 • 粉塵などによる健康被害への懸念 • 漁獲量・農作物の減少などの生活被害 • 環境影響評価(EIA)の不備と住民参加の欠如 • 支援を受ける住民・NGOへの人権侵害・嫌がらせ • 贈収賄疑惑などの不透明な資金の流れ 十分な補償や環境対策が行われないまま事業が進行していることに、現地住民の大きな怒りと不信感が集まっている状況が共有されました。私たちGreenFaith Japanとしても、「支援」という言葉の裏に潜む構造的不正義に改めて目を向ける重要性を強く感じました。 “「脱炭素」の名の下で延命される化石燃料と誤った移行支援” 講義後半では、波多江さんが「エネルギー移行」という名の下で、いかに石炭火力の延命策が国際支援の枠組みの中で進められているかを具体的に紹介してくださいました。 たとえば、アジア開発銀行が主導するETM(エネルギー移行メカニズム)や、日本が最大出資国であるAZEC(アジア・ゼロエミッション共同体)では、石炭火力の“早期廃止”を掲げながら、実際には以下のような動きが進められています: • 石炭火力を維持しつつ、アンモニアやバイオマスとの混焼を導入 • 化石燃料の利用を延命する技術を「移行策」として正当化 • 再エネ推進の名のもとに、脱炭素の本質から逸れた政策が容認される構図 こうした動きに対して、インドネシア国内でも「誤った移行ではなく、正義ある移行(Just Transition)を」との市民の声が強まり、日本の関わり方が問われています。 “GreenFaith Japanとしての学び” 私たちGreenFaith Japanは、今回のプログラムを通じて、環境・気候変動の取り組みを支援という名の「善意」だけで語ることの危うさを再認識しました。本来、環境・気候対策はもっとも弱い立場に置かれた人々を守るためにあるべきものです。ところが現実には、気候正義を無視したまま、脱炭素の「名ばかりの政策」が進行している場面も多く見られます。国際支援の現場で誰が利益を得て、誰が犠牲になっているのか。私たちはこうした問いを常に胸に抱きながら、公正な移行(Just Transition)と真の意味での気候正義を目指し、国内外の仲間たちとともに学び・連帯していきたいと思います。

営農型太陽光発電 講演会への参加!

10月5日、神奈川県小田原市を拠点に、県内西部で営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)の事業を展開されている小田原かなごてファーム代表・小山田大和さんの講演に参加しました。講演のタイトルは「食エネ自給のまちづくりと営農型太陽光発電」でした。 営農型太陽光発電とは、太陽光パネルの下で農業を行うという新しい形の農業であり、現在注目を集めている取り組みです。小山田さんは、耕作放棄地となってしまった農地をもつ農家の方々へ声をかけ、その農地を「電力発電」と「農業」の複合産業として復活させるべく活動を続けておられます。現在すでに、小田原市や開成町など神奈川県西部の8か所で事業を展開されており、昨年は「第1回かながわ脱炭素大賞」を受賞されています。また、全国的に見ると営農型太陽光発電の多くは、静岡県や千葉県などの茶畑の上にパネルを設置するケースが中心ですが、小山田さんは水田耕作と組み合わせた形で進めており、このような事例は全国的にも非常に稀だそうです。 現在、日本の食料自給率はカロリーベースで40%にも満たず、農業人口も20年後には現在の4分の1である約30万人になると言われています。お米不足が話題になっている今、小山田さんは「ただ増産する」という発想ではなく、日本の歴史や伝統、文化の根底にある稲作の価値そのものを見直すことが必要ではないかと訴えられました。また、農業をエネルギー生産や加工・販売と結びつけて「六次産業化」を図ることで、より持続可能で収益性の高い産業へと変えていきたいとお話されました。それにより、若い世代にとっても魅力ある仕事として農業が選ばれるような未来を目指したいという強い思いが語られました。 小山田さんの事業の根底には、日本の伝統や文化を大切にする視点があります。その姿勢は、私たちGreenFaith Japanにとっても、自らの活動を単なる環境運動としてではなく、より深く、広い視野から捉え直す大切さを気づかせてくれるものでした。今後とも、小山田さんの活動に注目していきたいと思います。

第七回 グリーンフェイスジャパン・フェローシッププログラム

第7回フェローシッププログラム開催! 2025年10月4日、第7回フェローシッププログラムを開催いたしました。今回は、宗像大社(福岡県宗像市)宮司の葦津敬之氏をお迎えし、「宗像国際環境会議の歩み」というテーマでご講義いただきました。 “宗像大社の歴史と信仰に触れて” はじめに、宗像大社の歴史や信仰の背景についてお話がありました。宗像大社は、日本神話にも登場する由緒ある神社で、天照大御神の三女神(田心姫神・湍津姫神・市杵島姫神)を祀っています。それぞれが沖ノ島・大島・本土にある三宮に祀られ、この三宮を総称して「宗像大社」と呼ばれています。古代から海を通じた外交や祭祀が行われており、朝廷とのつながりも深く、長い歴史の中で海洋信仰を支えてきた存在であることが紹介されました。 “世界文化遺産への取り組み” お話の中では、2017年に「神宿る島 宗像・沖ノ島と関連遺産群」がユネスコの世界文化遺産に登録されるまでの道のりにも触れられました。 単なる地域遺産としてではなく、信仰・自然・文化のつながりを世界に伝えるため、“SEA(Spiritual=信仰、Ecology=環境、Animism=アニミズム)”という視点をもとに推薦書を構成し、宗像の文化的・精神的価値を丁寧に表現されたそうです。特に、古代東アジアの対外交流期に発展した「沖ノ島信仰」が、現代まで生きた伝統として受け継がれていること、そしてそれを裏付ける物的証拠が存在することが評価され、世界遺産登録に至ったと語られていました。 “宗像国際環境会議の歩みと実践” 今回の講義の中心は、「宗像国際環境会議」の取り組みについてでした。宗像大社は海に面し、古くから海洋信仰の拠点として地域と深く関わってきた神社です。しかし近年では、海水温の上昇や沿岸への漂着ごみ、磯焼け(海藻が減少し生態系が崩れる現象)など、海の環境が急激に変化しており、深刻な課題に直面しているといいます。こうした状況を受けて、2014年に宗像国際環境会議が設立されました。「海の鎮守の森」構想を掲げ、海の再生や環境への提言を進めるとともに、地域内外に向けた発信を続けてきたそうです。 主な取り組みは以下の通りです: • 宗像国際環境会議の年1回開催(第12回は2025年10月末に開催予定) • 海の再生活動(竹漁礁づくり、海岸清掃) • 地元高校生の育成プログラム • 稚魚放流や豊饒祭などの伝統行事を通じた自然とのつながりの再確認 • 環境意識を高める啓発・情報発信活動 これらの活動は、宗像大社だけでなく、宗像市、宗像観光協会、地域団体、大学・高校、地元企業などが参加する実行委員会によって運営されています。宗教・教育・行政・民間が一体となった地域ぐるみの取り組みである点も大きな特徴です。 “信仰と自然、実践から学ぶ” 信仰に基づく価値観を土台にしながら、科学的な視点や実践的な行動を重ねる宗像の取り組みには、GreenFaith Japanとしても多くの学びがありました。海の変化に向き合い、文化と環境の両面から未来を守ろうとする姿勢は、信仰と社会をつなぐ新たな役割や可能性を考えるうえでも、大きな示唆を与えてくれました。自然とともに生きるという感覚、神聖なものとして自然を尊ぶまなざしは、宗教・地域を超えて共有できる価値です。私たちGreenFaith Japanも、10月末に開催される宗像国際環境会議に参加を予定しています。 国内外の多様な声と出会い、信仰に根ざした環境行動をさらに深めていく機会にできればと考えています。

参議院議員川村雄大氏との意見交換

参議院議員・川村雄大氏との意見交換を行いました! 9月22日GreenFaith Japanは、気候ネットワーク、気候変動イニシアチブ、WWFジャパンの皆さんとともに、参議院議員の川村雄大氏を訪問し、各団体から気候変動に関する取り組みの報告と意見交換を行いました。 川村議員は、先の参議院選挙で初当選された議員であり、医師としてのご経験から、高齢者や子どもたちの健康と気候変動の関係を強く意識されています。選挙期間中から一貫して「気候変動対策は生命の安全に直結する政治課題であり、今すぐに取り組むべきだ」と訴えてこられました。意見交換では、国の財政面もふまえつつ、化石燃料に依存した電力エネルギー生産からの計画的な移行や、国内における再生可能エネルギー拡大の重要性などについて議論しました。 GreenFaith Japanは、今後も川村議員をはじめとする環境問題に関心を寄せる国会議員・地方議員の方々との交流を深め、宗教団体や市民団体とともに、地球温暖化対策の推進に取り組んでまいります。

若者気候訴訟 第4回口頭弁論に参加しました!

未来を守るために、声をあげる若者たち 2025年9月17日(水)、名古屋地方裁判所で行われた「若者気候訴訟」第4回口頭弁論期日に、GreenFaith Japanとして参加・傍聴をしました。 当日は傍聴席を求めて130人以上が集まり、教育現場や暮らしの中から気候危機を訴える若者たちの言葉に、多くの注目が集まりました。事後の報告会では、海外からのゲストも登壇。国際的な連帯の広がりとともに、あらためて訴訟の意義を実感する一日となりました。 “子どもたちの未来に迫る気候危機” 意見陳述では、愛知県の小学校教である原告の安部芙祐美さんが登壇。熱中症指数の影響で運動場が使えない日が増えていることや、登下校中の暑さによる危険性など、教育現場そのものが気候変動の影響を受けている現実を語りました。 また、2030年までに石炭火力の廃止を掲げる先進国が増えるなかで、日本がその目標を持っていない現状に言及し、「目先の便利さではなく、未来の責任を果たすべき」と力強く訴えました。 “暮らしの中で感じる気候危機” 続いて登壇した長崎の大学生である原告の今岡明日美さんは、九州で頻発する豪雨災害や、地域猫の紫外線アレルギーの増加といった身近な経験から、気候変動を実感していることを語りました。 そして、「この問題は政府や企業だけでなく、私たち一人ひとりに関わること」と述べ、裁判所に公正な判断を求めました。今回の訴訟では、電力事業者10社に対して、現存する石炭火力発電所の削減を求めています。 “対話と共感が生まれた報告の場” 午後4時からは、近隣ホテルで報告会が開催され、傍聴できなかった方を含む約150名が参加。安部さん・今岡さん両名と弁護団より、裁判の状況や背景についての丁寧な説明が行われ、参加者からも多くの質問や感想が寄せられました。一人ひとりの暮らしや立場から気候問題を考える場となり、関心の広がりを実感する時間となりました。 “世界から届く励ましの声” この日は特別ゲストとして、ハワイ州における気候訴訟で勝訴判決を下したマイケル・ウィルソン元ハワイ州最高裁判事、そして国連大学教授などを歴任したべセリン・ポポヴスキー氏が来場。裁判を傍聴し、報告会でも登壇されました。特にウィルソン元判事は「世界の若者が起こしている気候訴訟は、自然災害の急増から見ても当然勝つべき正当な訴えであり、すでにハワイ・韓国・インドなどでも勝訴している」と語りました。 また、「日本には世界でも最も古く美しい自然と文化を守る伝統がある。この訴訟もきっと良い方向に導かれるだろう」と、力強い励ましのメッセージを送りました。 私たちGreenFaith Japanは、この訴訟が日本の脱炭素化に向けた重要な一歩であると考えています。 未来世代の声に耳を傾け、気候変動によって脅かされる日常と命を守るために、これからも参加・応援・発信を続けてまいります。

第六回 グリーンフェイスジャパン・フェローシッププログラム

第6回フェローシッププログラム開催! 今回の講師は当グリーンフェイスジャパンのシニアアドバイザーである佐田喜朗でした。タイトルは「世界の主たる宗教の自然観、自然と人間との関係」。発表の主な内容は、世界の5大宗教とされるユダヤ教、キリスト教、イスラーム、仏教、ヒンドゥー教について、それぞれの宗教が環境運動の前提として自然界をどのように捉えているのか、またその自然に対して人間はどのようにあるべきかをどのように解釈しているのかについて講演しました。 “国際会議を通じた宗教と環境のつながり” 発表の背景には、WWFが主催した1986年のアッシジ会議や、UNDP・ARCと共催された1995年・2009年のウィンザー会議があります。これらの会議では、各宗教が自然観や環境問題にどのように向き合ってきたかが共有され、信仰を軸とした環境行動が国際的に広がっていく土台となりました。 “宗教ごとの自然観と人間の役割” <ユダヤ教・キリスト教・イスラーム> 自然界は唯一神によって創造されたものであり、その頂点に立つ人間は、世界の管理を任されていると考えられている。 <仏教> 明確な創造主は存在せず、すべては縁起の理によって生まれ滅していくとされる。人間の役割は自然を管理するのではなく、共生と調和を重んじる教えが根幹にある。 <ヒンドゥー教> 自然のあらゆるものに神が宿っているとされ、人間もその一部として、調和の中で生きることが重視される。 <神道> 自然の中に神々の働きを感じ取り、人間は自然の一員であるという謙虚な姿勢を持つことが根幹とされる。人間の役割は「タテマツル(奉献する)」ことであり、「マツラフ(服従し奉仕する)」ことである。 こうした6つの宗教を比較したうえで、発表では、宗教に根差した環境運動を進めるためには、神道・仏教・ヒンドゥー教など東洋発祥の宗教に見られる、自然に対して謙虚に向き合う姿勢が大切であると強調しました。 一方で、積極的に環境運動を推進するには、一神教的な「人間の責任感を高める思想」も重要であるとしています。それぞれの宗教が持つ世界観から、自然と人間の関係における違いと共通点を学ぶ機会となりました。 “環境運動に活かす宗教的視点” 今回の発表では、宗教に根ざした環境運動の出発点として、以下の両方が大切であることを伝えました。 ・東洋的な「自然と共にある」謙虚な姿勢 ・一神教的な「人間の責任感に基づく行動」 あわせて、各宗教が取り組んでいる具体的な環境活動の事例も紹介し、思想と実践がどのように結びついているかにも触れました。信仰と自然のつながりを見つめ直すことは、持続可能な社会を考えるうえで欠かせない視点です。 宗教が持つ価値観や教えには、自然を敬い守ろうとする知恵が数多く含まれています。それらを改めて理解し、日々の行動や社会づくりに生かしていくことが、未来の環境を守る第一歩となります。私たちGreenFaith Japanは、これからも宗教の知恵を活かしながら、自然と共に生きる社会を目指して行動を続けていきます。

アルぺなんみんセンター訪問!

2025年7月24日、GreenFaith Japanは、カトリックのシスターであるジョイ・エスメンダさんのご案内のもと、神奈川県鎌倉市にあるアルぺなんみんセンターを訪問いたしました。 エスメンダさんは、日ごろから同センターで昼食づくりのボランティアに携わっておられ、この日も活動のために訪問されるということで、私たちもご一緒させていただきました。 アルぺなんみんセンターは、かつてイエズス会の修道院であった建物を活用し、現在はNPO法人アルぺなんみんセンターが運営しています。世界各地から来日した難民申請者の方々が、難民認定を受けるまでの間、在留中の住居や生活支援を受けながら暮らしており、現在は10か国から16名の方々が入居されています。 当日は、センターの理事であり、難民定住支援コーディネーターを務める松浦由香子さんより、日本における難民受け入れの現状やセンターの活動について、詳しくお話を伺いました。 とりわけ印象的だったのは、日本が諸外国と比べて難民認定率が非常に低いという実態でした。日本では年間1万2千人以上が難民申請を行っていますが、そのうち認定されるのは約200人、全体のわずか2%にとどまっています。 その背景には、国際基準とは大きく異なる厳格な認定基準と手続きがあることを知り、多くの申請者が長期にわたって不安定な状況に置かれていることに胸を打たれました。たとえば、申請中は県外への移動や正式な就業が制限されるなど、経済的・社会的に困難な状況が続く中で、5年、10年と認定を待つ方々が少なくないそうです。こうした現実を一人でも多くの方が知り、社会全体で関心を持ち、声を上げていくことの大切さを感じました。 また、私たちGreenFaith Japanは環境問題を中心に活動していますが、気候変動によって住む場所を追われる“国内難民”や、“気候難民”と呼ばれる人々の存在にも触れる中で、環境と人道支援は密接に関わっていることをあらためて実感しました。実際に、南太平洋のツバルでは海面上昇の影響により国土が水没の危機に瀕しており、オーストラリアが難民として受け入れを進めている現状も紹介されました。 GreenFaith Japanは、気候変動に特化した団体ではありますが、今回の訪問を通じて、環境だけでなく社会的な課題にも視野を広げ、日本の人々にも海外から来た人々にも、安心して暮らせる社会の実現に向けて、共に取り組んでいきたいと強く感じました。

第五回 グリーンフェイスジャパン・フェローシッププログラム

第5回フェローシッププログラム開催! 2025年7月19日、第5回フェローシッププログラムを開催いたしました。 今回は、公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン) 自然保護室 気候・エネルギー・非国家アクター連携担当の田中健氏をお迎えし、「パリ協定の実現に取り組む世界諸団体と非国家アクター」というテーマでご講義いただきました。気候変動は今や世界全体の課題となっており、その解決には政府だけでなく、企業や自治体、市民、宗教団体などの「非国家アクター」が重要な役割を果たすことが求められています。今回の講義では、日本の非国家アクターがどのように政府に働きかけ、地球規模の気候課題に向き合っていけるのかを中心に、5つの議題でお話しいただきました。 “気候危機、迫るティッピングポイント” 世界は気温上昇を1.5℃以内に抑えることを目指していますが、すでに平均気温は1.1℃上昇しています。日本ではその上昇率がさらに高く、CO2濃度も上昇の一途をたどっています。その影響で夏の暑さが厳しくなり、熱中症による死亡者も増加。例えば、石垣島では温暖化によりサンゴの白化が進み、ティッピングポイント(生態系の不可逆的な変化点)を超えた場合、回復は困難になるとされます。こうした転換点を回避することが重要だと語られました。 “パリ協定と非国家アクターを導く世界の動向” 1992年の国際条約から2015年のパリ協定までの流れを振り返りつつ、現在は政府の方針だけで気温上昇を1.5℃に抑えることは難しく、非国家アクターとの連携が不可欠であると説明されました。こうした団体の数は年々増加しており、世界中で連携を強化するキャンペーンが展開されています。 “企業を導く団体・イニシアティブ” 企業による誓約から具体的な行動への移行も進んでおり、2024年にはSBT認定企業数で日本が世界1位となりました。環境への取り組みを積極的に情報開示する企業は、国際的な信頼を得るとともに、経済的な発展にもつながると指摘されました。 “声を上げる非国家アクターたち” 非国家アクターの活動には、説得力と整合性が求められます。政府に対するロビー活動やアドボカシーの中で、環境への配慮が企業評価にも影響を与えるようになっています。また、世界の投資家も気候危機への関心を高めており、環境配慮型の産業への投資促進が進む一方、健康被害を訴える声も政府に届けることが重要であると語られました。 日本国内には216の非国家アクターが存在し、CO2削減や再生可能エネルギー導入の目標達成を政府に求める企業グループの活動も紹介されました。さらに、米国の州政府や都市リーダー、ペットケア・健康食品などを手がける企業MARSの先進的なイニシアティブについても触れられました。 “みなさんへの問い” 私たちが脱炭素社会に向けてどう行動すべきかを考えるうえで、日本人には「他者の評価」や「費用への懸念」が行動をためらわせる要因となっていると指摘されました。アジア諸国との比較でも、日本人の気候変動に対する意識は低く、個人の行動にもその傾向が表れているという調査結果も紹介されました。環境問題は政府間の課題にとどまらず、私たち一人ひとりが「非国家アクター」として関わるべき地球規模の危機であるという認識を深める時間となりました。今後もGreenFaith Japanは、企業・団体・個人と連携しながら、持続可能な未来に向けて行動していきます。