“浄土宗 見樹院・寿光院の大河内住職を訪ねる”
8月3日、GreenFaith Japanは、東京・文京区にある浄土宗・見樹院を訪ね、大河内秀人住職からお話を伺いました。大河内住職は、江戸川区にある寿光院の住職も兼ねておられます。
住職からいただいた名刺には、「江戸川子どもおんぶず」をはじめ、パレスチナの子どもたちを支援する活動、環境活動、国際協力など、さまざまな社会的活動に関わる肩書が記されていました。
こうした活動からも分かるように、大河内住職は寺院を宗教行事のための施設としてだけではなく、環境、福祉、平和、人権、国際協力など、さまざまな社会課題に向き合う地域の拠点として活用されています。実際、見樹院・寿光院は長年にわたり、寺院が所有する土地や建物をNPO・NGOなどの市民活動に提供してきました。

“遠くの社会問題を、自分自身の問題として考える”
なぜ大河内住職は、宗教者としての活動にとどまらず、これほど幅広い社会課題に市民とともに取り組んでいるのでしょうか。
その背景には、仏教者として社会にある「苦しみ」に向き合う姿勢があります。
大河内住職は、若い頃から国際協力やNGO活動に関わり、アジアやアフリカの紛争・災害の現場で人々と接する中で、地域やコミュニティの大切さを実感してきたと、公式サイトでも紹介されています。
また、社会で起きている問題を遠い出来事として捉えるのではなく、その背景や原因を見つめることで、自分自身や日本の社会とのつながりに気づくことの大切さについてもお話を伺いました。
その考え方の根底にあるのが、仏教の「四諦八正道」の教えです。目の前にある苦しみを見つめ、その原因を考え、そこから解決に向けて行動していく。宗教の教えを個人の心のあり方だけにとどめず、現実の社会にある課題に対する具体的な実践へとつなげていく姿勢が、住職の活動の根底にあります。
“遠くの社会問題を、自分自身の問題として考える”
GreenFaith Japanとの関わりで特に印象的だったのが、環境問題への取り組みです。
大河内住職が関わる「足元から地球温暖化を考える市民ネットえどがわ」は、1997年に地域の人々と環境NPOのメンバーによって活動を始め、1999年には寿光院の屋根を活用して「市民立江戸川第一発電所」を設置しました。太陽光発電の出力は5.4kWで、資金調達から建設、運営までを市民が担う取り組みでした。
また、寺院が所有する土地や建物についても、単に寺院自身のために利用するのではなく、NPO・NGOなどの市民活動や公益的な活動を支えるために活用してきました。現在も、この実践を「コモンズ」として発展させ、地域社会をより持続可能なものにする仕組みづくりが進められています。
こうした取り組みからは、環境問題を「環境だけの問題」として切り離すのではなく、地域の暮らしや人とのつながり、社会のあり方と結びつけて考える視点が感じられました。
“寺院を、地域の「共の場所」へ”
環境活動に加えて、子どもたちの見守りや福祉、国際協力など、地域や社会を支える活動にも寺院の場が活用されています。
公式サイトでも、寺院が地域の人々に支えられてきた歴史を踏まえ、その土地や建物などのアセットを公益的に活用し、「みんなが主役となって社会課題に取り組む活動を支える仕組み」を目指すことが紹介されています。
寺院を宗教行事の場に限定するのではなく、人が集まり、つながり、社会の課題について考え、支え合う「共の場所」として開いていく。今回の訪問では、こうした寺院の新たな可能性を強く感じました。